Special Feature

2024.10.18

言葉を超え、コマを超えて癒やしを与えるエイリアン――SIMON個展「ALIEN NEURON」インタビュー

様々にあらわれる「エイリアンちゃん」

「ALIEN NEURON」内観

――今回、屋台の作品が非常に存在感があります。このような立体作品は初めてかと思いますが、どのような経緯で屋台を作る事になったのでしょうか?

下寺孝典さんという屋台アーティストの方とのご縁で、コラボして屋台を作ることになりました。屋台に「エイリアンちゃん」を描くことで、宇宙船のようになるな、という思いつきがまずありました。それからお互いに探り探り作っていきながら、どんどん可愛くなっていったのは嬉しかったですね。

僕は福岡に住んでいるので屋台をよく見るんですけど、ギラギラ輝いているような屋台はあんまりないじゃないですか。そういう意味でも面白い作品になったと思います。

――屋台の中にはミラーボールが変形した小さなUFOがありますね。

はじめからUFOを付けようという発想ではなく、とっさのアドリブで生まれたものでした。ゼロから百まで考えて作るような制作というよりは、これも即興的に作られたもので、楽しかったですね。

――UFOが光を反射してキラキラと輝くのに対し、ぼわっと明かりを灯す提灯もあります。

提灯は「エイリアンちゃん」らしい温かな光を灯していて、見る人の心にもこんな明かりが灯ったら嬉しいなと思います。これは谷口弦さんという和紙を扱うアーティストさんとのコラボで制作しました。今回はいろんな人の協力がなければできない展示になったと思います。

「ALIEN SPACESHIP 01」
「ALIEN SPACESHIP 01」

――2つのターポリンの作品も180×250cmと大きく、屋台を挟む形で展示されていますね。空間構成について、どのようなお考えがあったのでしょうか?

空間構成自体に慣れないこともあり、ギリギリまで悩んでいました。まずは視覚でしっかり楽しめるようなものにしたいと考えて、展示室の真ん中に印象的な作品を置くことにしたんです。なので、両端に赤と青の大きなターポリン作品を配置して、挟まれた屋台は両方の色味が混じって調和するようなイメージがあります。

――目とハートがくり抜かれたスチールオブジェも新作ですね。

平面的なようで立体的な作品になっています。目とハートの穴は、鑑賞者の視点を切り取るフレームをイメージしています。たとえば、僕は雨があんまり好きじゃないんですけど、「エイリアンちゃん」を通して見たら悪くないなと思えたり。「癒やし」を生むフィルターのようなものとして、こうした作品を作りました。

いずれはもっと大きなサイズで、パブリックアートとしてスチールオブジェを作ってみたいとも考えています。街や公園、自然のどこかでポツンと「エイリアンちゃん」がいて、その先の景色を眺められる、ということができたらいいなって。

「ALIEN NEURON blue」
「ALIEN NEURON red」
「ALIEN HEART Ver.1_2/10」

――20×20cmの9種のアクリル画は、パラパラ漫画のようでもありますね。

まさに漫画由来の表現ですね。コマごとの一枚絵で動きを出す表現って、漫画において求められる技術でもありますよね。だから一枚一枚を追っていくことで動きのある「エイリアンちゃん」を見せられたらなって。それから柄も、漫画のベタとトーンを意識して、筆で一個一個描いています。

――ルーツがよくあらわれた作品なんですね。

これ、実はキャンバスも自分で木を切って作っていて。だから原稿用紙から作っているみたいな感じです(笑)。

それから100号のアクリル画には、はじめて額を付けました。「こういう見え方があるんだ」って……より漫画のコマに見えますよね。

――額を付けて「絵画らしく」なるのではなく、「漫画らしく」なるのですね(笑)。

あの額は、僕にとってはコマの枠です(笑)。

「ALIEN NEURON」内観
「BEAM SLIDE ACT」
「Vanilla Sky」

Exhibitions

SIMON ‘ALIEN NEURON’
2024.10.11 fri - 2024.10.27 sun