Special Feature

2026.10.11

漫画をルーツにキャンバスに描く、エイリアンちゃんのいる世界――AOISIMON個展「COMIC WORLD」インタビュー

エイリアンちゃんを描く場所

――今回の作品では、メタリックのエイリアンちゃん然り、背景の飛沫然り、絵にある種のテクスチャが現れてきたと感じました。この点において、フラットな絵柄が特徴的だった以前から変化したように思います。

AOISIMON:そうですね。僕が意識しているテクスチャというのは、どの角度からも見え方が異なって、「なにこれ」って思わせるような表現です。実際に来たお客さんはいろんな角度から見るわけじゃないですか。僕の遊び心というか、どう見られてもいいように、という工夫でもあります。

――また、質感が出てきたことによって、絵画の地と図がはっきり分かれてきた印象があります。これはストリート・アートにも取り組まれた経歴を考えると、自然な変化のように思います。つまり、ストリートではコンクリートの地面や壁が地になって、フラットな絵柄のエイリアンちゃんが図となる構成でしたが、今回の作品群は、その方法論をキャンバスに持ち込んだように見えます。

AOISIMON:本当におっしゃる通りです。この前、バリ島で個展をさせていただいた時は、5×3メートルの壁画を依頼されました。壁はコンクリートのグレーだったんですが、その地の色を活かしてエイリアンちゃんを描くことをまず考えました。初めから存在する世界にエイリアンちゃんがお邪魔する、という感覚ですね。

絵画の場合はキャンバスの色が白なので、世界観を最初から作っていく、自分でゼロからイチにしないといけないですよね。もともと地があるかないかの違いです。最終的にエイリアンちゃんを描いていくのは同じかな、と思います。

インドネシア個展での壁画

――特に「ALIEN plant observation daily blue」は、飛沫とパターンが背景に描かれていて、その世界をエイリアンちゃんが歩いていますね。ここまで探求されてきた絵画技法と、フラットな漫画的表現が組み合わされた形になっています。

AOISIMON:そうですね。これは「植物観察シリーズ」と呼んでいるんですが、これだけ、エイリアンちゃんがちょっと楽しそうなんですよ。植物を観察しに来ているだけっていう絵なんですけど(笑)。

やっぱり自然を求める気持ちは全世界で一緒だと思うんです。東京には植物が少ないけど、それでもみんな自然を求めて植物に近づいていく。人間、最終的に帰るところは自然なわけじゃないですか。植物観察で楽しそうに歩いているエイリアンちゃんを見て、ほっこりしてほしいですね。

「ALIEN plant odservation daily blue」

――ちなみに絵画以外で唯一展示される立体作品で、ソフビ人形のエイリアンちゃん「ALIEN soft vinyl custom / plane」がありますね。

AOISIMON:僕自身ソフビが素材として好きなんですよ。小さい頃に、指にはめるタイプのソフビ人形が好きで、可愛いなと思っていたんです。仮面ライダーのソフビ人形はボロボロになるまで触って遊んでて……最終的には犬に噛みちぎられたんですけど(笑)。

――(笑)。エイリアンちゃんのキャラクター哲学と符合する、やわらかさへの志向がさまざまな点で現れているんですね。さて、これまでの個展「COMIC WORLD」を通して、どういう反響がありましたか?

AOISIMON:反響ですか……僕の場合、お客さんから直接声をかけられることもないんですよ。だから、入ってきたお客さんが「あ、可愛い」って言うのを後ろからずっと見ていました。「僕、作者ですよ」とも言わずに見守ってるだけ(笑)。

でも本当に、そのぐらいの距離感がいいなって。後ろからそっと見守りたいんです。僕自身前に出るのが苦手だし、主役は絵なので。

「ALIEN soft vinyl custom」

――今後はどういう制作をしていきたいですか?

AOISIMON:やっぱりパブリックアートをやってみたいです。でかいオブジェとか作って、ハチ公じゃないけど待ち合わせ場所に「あそこね」みたいな、そういう感じで使われてほしい。公園にポツンとあるような、そういう感覚ですかね。エイリアンちゃんが日常に溶け込んで、かつ、普遍的な存在になってほしいです。

Text by namahoge
COMIC WORLD photos by Naoki Takehisa

Exhibitions

AOISIMON – COMIC WORLD
2026.10.02 Fri - 10.18 Sun