Special Feature

2026.11.06

あの頃飾れなかったピンナップを――​​Ferdi(フェル)個展『NEO PIN-UP: TOKYO』インタビュー

モダンと伝統を組み合わせて

―ここからは展示作品について伺っていきます。まず「Renjana」「Kirana」など、バティック模様を採用しつつ、背景には金箔を貼ったペインティング作品について教えてください。

フェル:今回新しく作ったシリーズのキーワードは「モダンと伝統」です。インドネシアの伝統としてバティックを使うだけでなく、日本の要素も入れたかったんです。でも模様の上に別の模様を重ねるのは避けたかった。だからなにか日本画の技法を入れてみようと。僕は印刷物に箔押しをよく使っていたので、自分のスタイルに一番合うものとして金箔を選びました。

金箔の扱いは友達の山中智郎さんというアーティストにアドバイスしてもらいました。金箔は息がかかるだけで飛んでしまうし、あかし紙に移して貼るときに落ちることもある。しかも一回勝負で、置く位置を間違えると穴があいてしまうんです。すごく集中力を試されて、今回一番時間がかかった作業になりましたね。

―続いて伝統工芸品としてのお盆を使った「Riverbath」のシリーズ。こちらはお盆の編み込まれた地を活かした作品になっています。

フェル:これはジャワ島の工芸品であるお盆を使っています。編み目がすごく綺麗で、模様として使いたかったんです。今回は3Dプリンターで作ったすごく薄いプラスチックを編み目の上に乗せて、レジンで固めました。昔からあるお盆と最新の技術を組み合わせたら何が生まれるか、試してみたかったんです。

また「Apsari」と「Juwita」は、無地のお盆を使って木目を活かした作品にしました。僕はマスキングで型をぬいて、スプレーで着色する手法が気に入ってるんですが、木を使うと綺麗にできるという記事を読んで。いずれはテーブルにしたり、実際にお盆として使える作品も作ってみたいですね。

Ferdi「RIVERBATH Ⅲ」

―バティック模様を活かした作品といえば、「Witing Tresno」シリーズもそうですね。こちらは提灯のように内部にLEDが入った立体作品ですが、どうして光る作品にしたんですか?

フェル:このシリーズは2Dだけど立体感があるので、僕は「2.5D」と呼んでいます。初めてレジンを使った2.5D作品「Hoodie Goodie」が、インドネシアですごく好評だったんです。

それを見た人がみんな「これ光りますか?」と聞くんです。僕は最初、光ったら商品になっちゃうと思っていたんですけど、20人くらいに同じことを聞かれて(笑)。それだけ見たい人がいるならと、今回バティックのシリーズに合わせてクバヤ(インドネシアの伝統衣装)を着た女性の照明作品を作りました。

壁に掛けて照明にできるし、壁から外して座らせることもできる。ケーブルを収納することもできるんですよ。設計から3Dプリントまで、自分でチャレンジした作品です。

Fedi「WITING TRESNO Ⅰ」

―さまざまな技術を駆使して作品制作に臨まれているんですね。今回はグッズのステッカーなどの印刷物もフェルさんのお手製なんだとか。

フェル:印刷屋だったこともあって、新しい技術があると触りたくなる性格なんです(笑)。一つの技法を極めていくアーティストもいますけど、僕は昔の技術と新しい技術を混ぜて仕上がりを試すのが楽しくて。

アートに詳しい人が聞いたら、「フェル君はいつも技法が定まってない」と言われるかもしれません。でも僕にとって、アートとは自分のためのもの。いろんなメディウムで実験するのが僕なりの楽しみ方なんです。